2026年10月から「社宅」の計算方法が変わります

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住宅手当や家賃補助を出している会社にも関係あるの?できるだけやさしく整理しました。

2026年4月:食事の現物給与価額が改正 / 2026年10月1日:住宅の現物給与価額が改正

2026年4月、食事の「現物給与価額」が改正されました。そして今度は、2026年10月1日から「住宅」の現物給与価額が変わります。

「住宅の現物給与って何?」「住宅手当のこと?」「うちの会社は関係あるの?」——そんな疑問に答えるため、できるだけわかりやすく整理します。

現物給与って、お金じゃない給与?
昔なら、大根とか家電メーカーなら洗濯機とか?

いやいや、今どきないよー
社食とかは聞いたことがあるー

何が現物給与にいまどきなるのかなー?

今から、なにが現物給与になって、どんな風に支給されているか、説明しますね

そもそも「現物給与」って何?

給与というと、ふつうは「お金」を思い浮かべます。

  • 基本給 30万円
  • 役職手当 3万円
  • 住宅手当 1万円

このように、会社から社員へお金で支払うのが一般的です。
ところが会社によっては、お金ではないけれど社員にとって得になるものを渡していることがあります。

その代表が、

これを社会保険では、一定のルールでお金に置き換えて計算します。

これが「住宅の現物給与」です。日本年金機構も、社宅や寮の貸与は現物給与の一つであり、金銭の給与と合算して「標準報酬月額」(社会保険料を決める基準)を決めるとしています。

「住宅手当」「家賃補助」「社宅」は別物です

ここが一番間違えやすいポイントです。次の4つに分けて考えます。

種類内容今回の改正の対象?
① 住宅手当給与に一律いくらか上乗せして支払う対象外
② 家賃補助社員が自分で借りた部屋の家賃を会社が補助する対象外
③ 借上げ社宅会社が部屋を借りて、それを社員に貸す対象
④ 社有の社宅・社員寮会社が所有する建物を社員に貸す対象

つまりポイントは、「会社がお金を出しているか」ではなく、「会社が住宅そのものを社員に貸しているか」です。

住宅手当と家賃補助、社宅って違うんだ!

そう、要するに契約主や持ち主が誰かってことで違うのよ

「住宅手当」「家賃補助」「社宅」は同じではありません

ここが最初の重要ポイントです。
言葉が似ているので、とてもわかりにくいのですが、今回の改正を考えるときは分けて考えます。

① 住宅手当

たとえば会社の給与規程に、「持ち家の社員には月額10,000円の住宅手当を支給する」と書いてあり、毎月の給与に1万円を上乗せしている。
これはお金で支払っている給与です。
今回の「住宅の現物給与」の計算方法変更の話ではありません。

② 家賃補助

社員自身がアパートを契約していて、

家賃 80,000円
会社から家賃補助 20,000円

として、会社が給与と一緒に2万円を支給する。
これも基本的にはお金で支払っている給与です。
今回の住宅の現物給与の計算方法変更とは別です。

③ 借上げ社宅

こちらは違います。
会社が不動産会社などと賃貸借契約を結び、会社が借りたマンションやアパートを社員に貸します。

つまり、

会社が住宅を借りる
↓
その住宅を社員に貸す

という形です。
これは「住宅を提供している」ため、住宅の現物給与の対象になります。

④ 会社所有の社宅・社員寮

会社が所有している社宅や社員寮を社員に貸している場合も同じです。

つまり今回確認しておきたいのは、
「会社がお金を出しているか」ではなく、「会社が社員に住宅そのものを提供しているか」
という点です。

なお、所得税についても、国税庁は「現金で支給される住宅手当」や「入居者本人が直接契約している住宅の家賃負担」は、社宅の貸与とは認めず給与として課税するとしています。

2026年10月から何が変わるの?

社宅の「広さ」の測り方が変わります。

ここからが今回の改正の本題です。
一言でいうと、社宅の広さの測り方が変わります。
これまでと10月以降では、住宅の現物給与価額を計算するときに使う「広さ」が違います。


9月30日までは「居住用の部屋が何畳あるか」

これまでは、居住用の部屋の畳数 × 都道府県ごとの1畳当たりの価額で計算していました。
ここでいう「居住用の部屋」とは、たとえば、リビング、寝室、客間、書斎、食事室などです。
反対に、玄関、台所、トイレ、浴室、廊下などは含めませんでした。
つまり、住宅全部の広さを使っていたわけではありません。


 10月1日からは「住宅全体が何㎡あるか」

これが大きく変わります。
2026年10月1日からは、

住宅の総床面積 × 都道府県ごとの1㎡当たりの価額

で計算します。
つまり、「居室が何畳あるか」 ⇒ 「住宅全体が何㎡あるか」
へ変更されます。
厚生労働省の通知では、総面積には居住室だけでなく、玄関、台所、トイレ、浴室、廊下、押し入れなども含めるとされています。
マンションやアパートの場合は、その部屋の専用部分の床面積で考えます。
みんなで使う共用廊下や共用階段などは含めません。
別棟になっている物置や車庫なども除外されます。

今までは、居室だけだったのに廊下やトイレ、お風呂までになると広くなるよね

そしたら現物給与の価格が高くなるんじゃないの?

そうなると、どうなるんだろう

面積の測り方だけでなく、1㎡あたりの単価も新しく決まり直します。
単純に「面積が増えた分だけ高くなる」わけではありません。

金額はすごく上がるの?

ここで、こんな疑問が出てきます。今までリビングや寝室だけだったのに、
「今度はお風呂もトイレも廊下も入れるの?」
「それなら、現物給与の金額がものすごく増えるのでは?」
と思いますよね。

でも、単純にそういう話ではありません。広さの測り方だけでなく、広さに掛ける単価も変更されるからです。
たとえば東京都の場合、日本年金機構が示している金額は、
9月30日まで1畳につき2,830円 ⇒ 10月1日から総面積1㎡につき1,330円
です。

つまり、「対象面積が広くなったから、その分だけ現物給与が何倍にもなる」という計算ではありません。

実際に計算してみましょう

日本年金機構が、東京都の社宅について非常にわかりやすい例を出しています。
ある社宅が、居住室部分 16畳   住宅の総面積 40㎡ だったとします。

〜9月30日:2,830円 × 16畳45,280円
10月1日〜:1,330円 × 40㎡53,200円
差額+7,920円 / 月

この例では、45,280円 → 53,200円 ですから、月額7,920円増えます。
もちろん、実際にどれくらい変わるかは、住宅の広さや都道府県によって異なります。

ちなみに10月からの価額で総面積1㎡につき東京都は1,330円、埼玉県は840円。
全国一律ではありません。

※実際の変動額は住宅の広さや都道府県によって異なります(例:埼玉県は10月から1㎡あたり840円)。全国一律ではありません。

社員が給与から天引きで、すでに家賃を払っている場合はどう変わる?

社員が社宅に無料で住んでいるとは限りません。
たとえば会社が社員から毎月、「社宅使用料として30,000円」を給与から徴収していることがあります。

住宅の場合には、基本的に、
厚生労働大臣が定めた住宅の現物給与価額- 社員が負担している家賃等
で現物給与額を考えます。

日本年金機構も、住宅の家賃等を社員から徴収している場合は、現物給与価額からその負担額を差し引く取扱いを示しています。

たとえば、先ほどの東京都の例で、

住宅の現物給与価額 53,200円
社員の家賃負担   30,000円

なら、53,200円-30,000円= 23,200円

という考え方になります。

この金額は何に影響するの?

「計算方法が変わることはわかった。でも、それで何が変わるの?」
と思うかもしれません。

ここが会社にとって重要なところです。
住宅の現物給与は、社会保険では報酬の一部として扱われます。

たとえば、

現金で支払う給与 300,000円
住宅の現物給与   23,200円

なら、

社会保険では、300,000円+23,200円=323,200円

というように、現金給与と現物給与を合算して考えます。

日本年金機構も、現物給与を通貨に換算し、金銭による給与と合算して標準報酬月額を決定すると説明しています。

⚠ 社会保険料が変わることがある ※月額変更(随時改訂)
・標準報酬月額の「等級」まで変わると、健康保険料・厚生年金保険料が変わる可能性があります。
・今回の改正は日本年金機構が「固定的賃金の変動」に該当すると明言しています。
・要件を満たす社員については、「被保険者報酬月額変更届」(随時改定)の提出が必要になることがあります。
・「10月に単価を直して終わり」ではなく、その後の給与も確認が必要です。

⚠ 労働保険にも関係します
・住宅の現物給与は、健康保険・厚生年金だけでなく、労働保険(労災保険・雇用保険)の賃金集計にも関わります。
・年度更新などで適正に申告するよう、厚生労働省からも案内が出ています。

所得税は別ルールなので注意!

ここは特によく混同されるポイントです。

  • 今回の改正は、あくまで「社会保険・労働保険」で住宅の現物給与をいくらとするかというルールの変更です。
  • 所得税では、社宅について別の「賃貸料相当額」という計算方法を使います(固定資産税の課税標準額や床面積などで計算)。
  • 社員から受け取る家賃が、この「賃貸料相当額」の50%以上なら、原則として給与として課税されません。
  • 50%未満の場合は、一定額が給与として課税されます。

社会保険料に注意が必要なのは、わかった。それだけ気を付ければ、もう大丈夫だね

それだけじゃないんですよ。まだ、もう一つ大事なことがあります。
所得税も別のルールであります。

社員寮の金額が変わると、いろいろ変わるんだね

📌 ここだけは覚えておきたい
社会保険の社宅ルールと、所得税の社宅ルールは別物です。混ぜないように注意しましょう。

「家賃補助を出しているだけ」の会社は?

もう一度整理しておきます。
社員本人が住宅を契約していて、会社が、

「住宅手当10,000円」
「家賃補助20,000円」

などを給与として現金で支払っているだけなら、今回の住宅の現物給与価額の計算方法変更の対象ではありません。

国税庁も、現金で支給する住宅手当や、社員が直接契約している住宅について会社が家賃を負担する場合は、「社宅の貸与」ではなく給与として課税するとしています。

ですから、まず会社で確認してほしいのは、
「うちは住宅手当なのか。それとも会社が住宅を社員に貸しているのか」
です。

ここを整理するだけでも、今回の改正が自社に関係するかどうかがかなり見えてきます。

以下に1つでも当てはまる会社は、確認をおすすめします。

  • 会社が部屋を借りて、社員に貸している(借上げ社宅)
  • 会社が所有する社宅・社員寮に社員を住まわせている
  • 社宅の家賃(使用料)を給与から天引きしている
  • 社宅の現物給与を、今までずっと同じ金額で計算している

まとめ~社宅・借上げ社宅がある会社は、10月までに確認を~

  1. 2026年10月1日から、社宅・借上げ社宅・社員寮の「住宅の現物給与」の計算方法が変わります。
  2. 計算の基準が「居室の畳数」から「住宅全体の総床面積(㎡)」に変わります。
  3. 単価も都道府県ごとに新しく決まり、金額は住宅ごとに変わります。
  4. 社会保険上の報酬額が変わり、月額変更届が必要になる場合があります。
  5. 労働保険の賃金集計にも関係します。
  6. 所得税のルールとは別物なので混同しないよう注意が必要です。

2026年10月1日から変わる住宅の現物給与。
今回の最大のポイントは、「居室の畳数」から「住宅の総床面積(㎡)」へ計算方法が変わることです。

今まで計算に含めていなかった玄関、台所、トイレ、浴室、廊下、押し入れなども、原則として総面積に含めることになります。

そして、新しい現物給与価額によっては、社員の社会保険上の報酬額が変わり、月額変更届が必要になる可能性もあります。
会社所有の社宅だけではありません。

借上げ社宅や社員寮を利用している会社も対象になり得ます。

「うちは社宅があるけれど、ずっと同じ金額で給与計算している」そんな会社は、一度確認しておいたほうがよいでしょう。

4月には食事の現物給与価額が変わり、10月には住宅。

給与計算を担当している方にとって、2026年は現物給与の確認が続く年になっています。
社宅制度は福利厚生として社員に喜ばれる制度ですが、会社側では「住宅を用意して終わり」ではありません。

誰に、どの住宅を貸しているのか。
その住宅は何㎡なのか。
社員からいくら徴収しているのか。
10月から現物給与はいくらになるのか。
そして、社会保険の月額変更に該当しないか。

10月を迎える前に、一度整理しておきましょう。

📎. 参考資料・公的機関のリーフレット

日本年金機構
令和8年4月から現物給与の価額が改正されます(Q&A付き資料)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150511.files/2026.pdf

日本年金機構
日本年金機構からのお知らせ 令和8年8月号(住宅の現物給与改正の案内)zenkoku202608.pdf

厚生労働省
厚生労働大臣が定める現物給与の価額について(保険局長通知、令和8年3月17日付)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260324S0020.pdf

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